はじめてSaaS導入を担当される方に向けて、SaaS導入のベストプラクティスや、SaaS導入を成功に導くための計画の策定方法などについて、前編・中編・後編の3回に渡りお伝えします。
今回は、前編として「SaaS導入のベストプラクティス」と「オーナーシップの確立」についてです。
はじめに
近年、SaaS (Software as Service)を導入し、より良い事業推進体制を構築することで、競合他社に差をつけようとする企業が急増しています。しかし、SaaSのように新しい技術を組織に取り入れて活用していくことには、課題がないわけではありません。進め方によっては、SaaSの導入は期待するような効用や投資対効果といった高いビジネス価値を生み出すことはできないからです。
この記事では、SaaSの導入を成功させるために必要なことをご紹介します。
SaaS導入のベストプラクティス
SaaSの導入とは、既存の業務フローにソフトウェアアプリケーションツールを採用し、統合することです。このプロセスは非常に複雑で、業務ニーズ、予算、利点、制約などを事前に評価する必要があります。組織で採用するソフトウェアアプリケーションツールを決定してSaaS導入の計画を策定して初めて、SaaS導入を開始することができます。
SaaS導入の開始時点で、社内のプロセス、期待値、目標、スケジュールなど組織内のステークホルダーに関する様々な情報を集約しておく必要があります。同様に、新しいソフトウェアアプリケーションツールを組織内の既存の 社内IT 環境に統合するために、SaaSの運用開始までに対応が必要となるすべての作業について詳細を把握しておく必要があります。
これから、ソフトウェアアプリケーションツールを採用、統合することで得られる価値を最大化するための、SaaS導入のベストプラクティスをご紹介していきます。
オーナーシップの確立
世の中のデジタルリテラシーの向上に伴い、誰でも、やろうと思えばIT部門へ報告・連絡・相談することなくソフトウェアアプリケーションツールを新たに利用開始することができるような時代になりました。これは、誰もがソフトウェアアプリケーションツールのオーナーになれるということでもあり、シャドーITリスクやソフトウェアアプリケーションツールの重複、必要以上のクラウド利用を招きかねません。様々な制約や懸念などを管理してSaaS導入を成功に導くためにはプロジェクトチームを編成することが重要です。
小規模な企業では、少なくとも管理担当と教育担当からなる2人組のプロジェクトチームを編成する必要があります。管理担当は、様々なベンダーと密に仕事した経験を持つIT専門家が理想的です。教育担当は、普段、日常的にソフトウェアアプリケーションツールを使用し、利用者が質問や懸念をいだいた際の相談相手となります。
一方、大規模な企業では、より大規模なプロジェクトチームが必要になります。先に述べた管理担当と教育担当に加え、プロジェクトマネージャー、導入・運用保守担当、技術担当、変更管理担当などのメンバーが必要になります。この専門のプロジェクトチームのことを運営委員会という名称で設置したりします。
CAMI&Co.では、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)サービスを通じて、SaaS導入・運用を支援させていただいた実績もございますので、もしもSaaS導入・運用でお悩みでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
次回は、中編として「目標を設定した導入・運用計画」と「変化を受け入れる」と「利用のモニタリング」についてです。