電源制御回路の記事で軽く触れました回路の保護についてと、電源制御回路に接続する部材の制御についての補足をしたいと思います。
電源制御回路の回路保護について
① SWトランジスタの逆電圧保護ダイオード
図3にSWトランジスタの保護ダイオードの挿入を示します。
これは、電源の供給側(左側)が切れて電圧が低下した時に負荷側に電源安定化のための大型コンデンサがある場合にSWトランジスタのエミッタ側がコレクタ側より高い電圧になりVebo※がトランジスタの規格を超えて破壊することを防ぐために挿入します。
十分な電流を流せるダイオードを選定してください。
そのような事態が想定されない回路構成の場合には必要ありません。

※定格電圧の表記項目(一部)
項目 | 表記 | 単位 |
---|---|---|
コレクタ・ベース間電圧 | Vcbo | V |
コレクタ・エミッタ間電圧 | Vceo | V |
エミッタ・ベース間電圧 | Vebo | V |
② SWトランジスタの簡易出力保護
図4にSWトランジスタの出力短絡保護のポリスイッチを挿入した回路を示します。
ポリスイッチとは過電流の際に温度上昇により定格電流以上で抵抗値が大きくなるサーミスタの一種です。
電源制御回路の出力が外部に出力される場合に短絡事故対策として使う回路部品です。
使い方の注意点としては、温度に依存する保護部品ですので高温の使用環境での誤動作や極低温時の動作不良に気を付けてください。

電源制御回路に接続する部材の制御
(PWM制御について)
この制御回路でDCモーターを回す、LEDを点灯するといった場合に、回転の速さの調節はできないか? とかLEDの明るさは調節できないか? という要望が出てくるかもしれません。


制御トランジスタのベースに接続するマイコンのポートを汎用の出力ポートからPWMポートに変更すればそれらは可能になります。
その場合に一点だけ、制御トランジスタのベース抵抗と並列にスピードアップコンデンサを追加することをお勧めします。
なくても動作はしますがあった方が制御の自由度が増します。
トランジスタがオン/オフする際にベース抵抗を経由してベースの寄生容量をチャージ/ディスチャージするのですが時定数があるため制御信号と実際の動作の間には遅延が発生します。ベース抵抗だけの接続ではオンからオフの場合とオフからオンの場合の遅延時間の差が大きくなっています。
ベースの寄生容量へのチャージ/ディスチャージを速くしてスイッチ動作の遅延時間の差を小さくするのがスピードアップコンデンサの役割です。
PWMの周波数が低ければ遅延時間の差は相対的に小さくなりますが、LEDの明るさ制御の場合はチラツキが目立たなくなるようにある程度周波数を上げなくてはなりません。
こういった場合にスピードアップコンデンサは有効です。
図5に5Vの照明用テープLED(電流制限抵抗付き)を3.3Vのマイコン出力でPWM制御する回路図を参考に載せておきます。


