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造形物に真っ向勝負! ~憧れをカタチに~

筐体エンジニアとして展示会をはじめ数々の製造物に携わっている、筐体エンジニアが幼少時から憧れをカタチへと実現されたのでお話を伺いました。

想いをカタチに真っ向勝負!!

Q.

今じゃCAMIにとって「守り龍」のような存在感がある龍ですが、製作するきっかけはありますか?

A.

実は子供のころから龍に憧れを持っていました。
小さいころにTVで人形劇を放映されていて、そこに龍が出ていました。
龍の形がカッコいいと感じて、そこから龍が好きになりました。
小さいときは粘土とかで龍を作っていて、「いつかカタチにしたい」って思っていました。

モノづくりの仕事に就いてから可動式の龍を作りたいという想いはあったので、常にアイデアは持っていたんです。
無料で造型機を利用できる機会があって、これまで自分が憧れていたことに向き合って「カタチ」にしてみよう!と思いました。

Q.

思いも一入な分、細部までこだわりを感じる作品ですが、どの工程に1番時間がかかりましたか?

A.

製造納期は決まっていたので、納期に向け逆算しながら制作していくわけですが、思いがある分デザインが確定するまでが1番時間を要しました。
試作品ができたらまたイメージと異なる部分もあったりして、試行錯誤を繰り返して…やっと今の形になりました。

こだわりはたくさんありますが、その中でも表現するのに1番時間がかかったのは「顔」を作ることです。
「顔」はたまたま出会った龍のデザインがカッコいいのがあって、参考にさせてもらいました。
顔自体のデザインもそうですし、目の大きさや鼻の形1つ1つ、どうするか迷いました。
あとは、頬のラインですね。凹凸など立体にして押し出しをしたりして調整をしていく必要がありました。
足など筋肉の盛り上がり具合や顔に限らず、龍全体の「表情」を決めるのも時間がかかりました。

龍のメインと思われるのは「顔」や「胴体」と思われがちですが、当然手足もついているのでそこが貧弱だとカッコがつかないから、筋肉の付け方にも気を付けました。
それ以外ですと…例えば指の爪、数を決めるのも3本にするか4本、5本にするか…から始まったわけです。というのも、龍の爪、指の数にも意味があるらしいです。
龍は中国から日本に伝わってきたもので、昔の中国においては龍の爪の数が階級を象徴して位の高い人、「皇帝が5本」という話をある宮司さんから伺いました。
お話しを伺ってからは全体のバランスを考えながら4本に決めました。


“最善”へのこだわり

Q.

筐体エンジニアとしてのこだわり部分というのはありますか?

A.

共感してくれるかわからないですが、造形物はカッコいいから作る!ということはなくて、実際に世に出て、人が製作することを想定しないといけないわけです。
製造段階でも、“こういうデザインだと金型から外すときに影響があるな…”とかです。
そうすると、しっぽの太さを少し調整→首の長さの調節…など全体的なバランスを見ていく必要があります。

製造物は量産のことを想定しながら設計やデザインをしていかないといけないのです。
“作るからには最善のモノ”と常に思っています。
『最善』というのは誰でも組み立てができるような設計でコストやデザイン、形も考えてつくること。
どの仕事でもそうですが、立体物を制作するときも手を抜くことはできないわけです。
調子に乗っていると物理法則は容赦なく襲ってきますので。

それに常に次の工程を見据えて設計する必要があります。
作り手だけではなく、製造過程も考慮しながらデザインをする必要があるのです。
この細さだと金型で抜けないとか破損して割れちゃう…とか。


経験が活きたひらめき

Q.

試作品と表情や大きさも微妙に違いますよね。

A.

モノづくりや製造物も試行錯誤の連続です。
この龍も先々を見据え、最善のモノを。と考えカタチにしたわけですが、実際に手にしてみると「もっとこうしたい!」「こうしないといけないな」と出てきます。

今回も試作版を手に取ってみて、欲だけではなく改良も必要でした。
試作品の保持力では、うまくバランスを保った状態で曲げないと倒れちゃう。つまりこのままでは量産はできない。つまり要改善ということです。
CAD上や計算した限りでは、問題ないとシュミレーションしていても強度や保持力などは実際手にとって初めて知ることもあります。

強度、保持力を保ちつつしなやかさを出すにはどうしたらいいのか、保持力と全体のバランス、しなやかさの調整は正直苦戦しました。
アイデアが出てこなくて、考えて考え…。
ふと、ひらめいたんですよ。胴体の『ある部分』をこうしたら…?と。
胴体の改良は、経験値が活きましたね。※『ある部分』の細部は企業秘密です

欲が出てきたので表情も改良しました。
顔も今よりも能面でしたね。歯もなかったですし。

左:試作品
右:完成品

 


造形物に真っ向勝負~経験と新たな知見の融合~

Q.

長年思い描いていた龍をカタチしてみていかがですか?率直な感想をお聞かせください。

A.

カタチになったときは、正直納期に間に合ったことの安堵感が強かったです(笑)

造形と向き合う上でこれまでの経験や知見をぶつけました。
今までの経験を活かしつつ新しい素材との出会いもあり、自分の成長にもつながる機会となりました。

今回初めて使用したナイロン素材は、強度もありますが加工がしやすいのですべて使用しなくても、ある部分はこの素材を活用する。など組み合わせの幅が広がると感じました。

ゼロから形にすることの大変さはありますが、最善のカタチを短納期、スピード感もって筐体エンジニアとして携わることは楽しいですよ。
これからも新しい知見を得続け、アウトプットしていきたいですね。

―インタビューの機会をいただきありがとうございました。


CAMI&Co.では短納期でスピード感もって筐体、IoTを利用したモックアップ製作なども手掛けています。
展示会のコンセプトモデルやロボットなどアイデアノックからも相談可能です。

 
こちらよりお問い合わせください

 

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